2016年11月22日火曜日

細胞の分子生物学 19章 細胞結合、細胞接着、細胞外マトリックス 第1〜7節

担当:天満
参加者:8名

概要:
多細胞生物はその名の通り膨大な細胞が「社会」を構成してそれらが相互作用することによって成り立っているが、その基本は細胞同士の連結である。
細胞は直接に細胞間結合をして集合したり、自らが分泌した細胞外物質によってくっ付き合う。この細胞同士の結合の機構によって形や強度など体の作りが変わる。また、他の細胞や細胞外マトリックスとの連結で細胞内部の構造体の向きが決まり、それによって体内での細胞の動き方が決まり、成長・発達・修復のありようが定まる。
この章では、最初に動物の細胞と組織に焦点を当て、
まず細胞と細胞をつなぐ細胞間結合、閉塞結合、チャネル形成結合について、
[1. カドヘリンと細胞間接着]
[2. 密着結合と上皮の構造]
の2節でまとめられており、接着の機構と構築という観点から神経シナプスについて
[3. 細胞から細胞への通路:ギャップ結合と原形質連絡]
という節にまとめられている。
多種類の結合が協同して極性を持った上皮層を作る仕組みは
[4. 基底膜]
で見ていき、その後動物の細胞外マトリックスそのものや、細胞ーマトリックス間接着での細胞同士の相互作用を
[5. インテグリンと細胞ーマトリックス間接着]
[6. 動物の結合組織の細胞外マトリックス]
の2節でまとめられていた。
最後に植物体を作るのに中心的な役割を果たす細胞壁について
[7. 植物の細胞壁]
の節にまとめて締めくくられている。

議題:
生物では再現できない材質について

■生物が起源ではない物質
・ガラス
・鉱物や純物質の単体結晶
・プラスチックや発泡スチロール → 大元を辿れば石油であり、生物由来?

■生物にはない物性
・透明で固いもの(ガラスなど)
・導電性や磁性の高いもの
・耐熱性の高いもの
・腐らない(生物によって分解されない)もの
基本的に生物はタンパク質によってできている部分が大きいため、導電性や高温への耐性を実現する物質を生み出すのは難しいのかもしれない。
腐るということに関しては、例えば木が腐るという過程で難分解性のセルロースが残ったりするということはあるが、基本的に生物が生み出したものを生物が分解できないということはないのであろうと考えられる。むしろ「腐る」ことによって、生命の間で物質が循環できているのかもしれない。

考察:
上で出てきたような生物にない物性を将来的に生物に実現するメリットはあるのだろうかという疑問が湧いたが、メリットも必要もないであろうという意見が大多数だった。たしかに約40億年の生命の歴史の中で獲得されることのなかった物性というのは今後もこの地球で生きていく上では必要ないと考えられる。
ただ、漫画ではないが、体が伸び縮みしたり、透明人間になったりする技術という観点でもう少し考えてみれば議題だったかもしれない。


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