2016年4月12日火曜日

細胞の分子生物学 第1章 細胞とゲノム 第1~3節

担当:大林
参加者:10名

<概要>

  1. 地球上の細胞が共有する特徴は、セントラルドグマに基づく形質が遺伝するシステムであり、遺伝情報の複製、発現システムに加えて、細胞境界を規定する細胞膜が存在する。
  2. 生物は生化学的に多様であり、有機栄養生物、光栄養生物、無機栄養生物が存在する。それらは遺伝子、並びにその総体であるゲノムの進化という軸で理解することができる。
  3. 原核生物が、単純化すると遺伝情報と膜から構成されているのに対して、真核生物は多くの細胞ない区画からなる。これは原始真核生物が食作用を持つと仮定とよく合致する。多様な真核生物を理解する上で、幾つかのモデル生物が主たる研究対象となってきた。

<議題>

DNA/RNAはなぜ4種類なのか?

塩基の種類数と特徴:

  • 1: 長さしか情報を持てない
  • 2: 1bit / position → 5塩基コドン → 32通り
  • 3/5/7/..: 奇数種類の塩基は単純な規則で相補性を実現できない。
  • 4: 2bit / position → 3塩基コドン → 64通り
  • 6: 3bit / position → 2塩基コドン → 64通り
  • 20: 10bit / position → 1塩基コドン → 20通り

塩基数の大域的特徴:

  • 種類が多いと、ゲノムが短くて良い
  • 種類が多すぎると、合成が大変。(アミノ酸は20種類なのでどこまで不利かは不明)
  • 種類が多くても、遺伝暗号の冗長性を利用した変異頑健性がある方が有利。
  • 長塩基コドンになると、コドンとアンチコドンの水素結合に基づく安定性が上昇し、完全マッチでなくても結合する可能性や、結合したものが乖離しにくいといった欠点がある。最適結合強度は生育温度に依存し、長塩基コドンは高熱環境で有利になる可能性がある。
  • 塩基が2種類では、相補鎖間の水素結合数が常に等しいので、GC含量に基づく巨視的なレベルでの制御ができない。塩基が4種類以上で可能になる。

まとめ:
なぜ4種類が選択されたかは断定できないが、対応塩基間の安定性は水素結合の数に依存するという物理化学的な制約のため、ある環境での最適な水素結合数が存在し、それが4種類であることと矛盾しないと推定される。

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